写ルンですってどんなカメラ?
デジカメ、スマートフォン全盛のこの時代において、「写ルンです」を使ったことがないという方も多いのではないでしょうか。
逆に、チェキなども含め、一部のユーザーの間では人気が復活しつつあるという話も聞きますね
シャッターを押すだけ
「写ルンです」は、カメラの知識や難しい操作は不要、シャッターを押すだけで誰でも撮れるという代物です。
昔はなんとも思いませんでしたが、カメラを使うようになってレンズや露出の知識がある程度身についた今、この「押すだけで撮れる」ということがいかにすごいことかということがわかるようになりました。
誰でも撮れる仕組み
主な仕様は次の通りです。
レンズ: f=32mm F=10
シャッタースピード: 1/140秒
撮影距離範囲: 1m~無限遠(※)
フィルム: カラーネガ
ISO感度: 200/400/800/1600
(※)ピント位置は3m付近にセットされているということですが、確実なソースは見つけることが出来ませんでした。
詳しい説明は省きますが、これらの仕様によって、露出合わせ・ピント合わせが不要となり、シャッターを押すだけでそれなりに写るということを実現しています。
デジタルカメラで「写ルンです」と同じように撮るには
前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。
最近フィルム調の作風が好きなこともあって、写ルンですと同じような設定で撮ってみようと思いました。
設定
といっても、特に難しいことはなく、上記と同じ設定を再現(設定)すればいいだけです。
具体的には次のような感じです。
フルサイズカメラの場合
焦点距離 | 32mm |
---|---|
絞り | F11 |
シャッタースピード | 1/125 |
ISO | 400 |
撮影モード | マニュアル |
フォーカスモード | マニュアル |
フルサイズカメラ以外の場合
フルサイズ以外のカメラを使用する場合は、焦点距離を変更する(35mm換算で32mm付近に設定する)ことでほぼ同じ設定とすることができます。
- APS-C(キヤノン)の場合 → 20mm
- APS-C(キヤノン以外)の場合 → 21mm
- マイクロフォーサーズの場合 → 16mm
カメラ・レンズ
32mmの単焦点レンズを使用するか、ズームレンズで焦点距離を32mmになるように設定することが必要となります。
ズームレンズの場合は、一度合わせたらテープ固定するなどの工夫をしてもよいと思います。
私の場合は次の機材を使用しました。
カメラ | PENTAX K-1(フルサイズ) |
---|---|
レンズ | smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited |
ピント合わせ
3m付近に設定します。
FA31mmF1.8ALは距離指標が2mしかなく、2mをほんの少し超えたあたりに合わせました。
厳密に合わせる場合は、3m先の被写体をオートフォーカスでテスト撮影し、その位置でピントリングを固定するといいでしょう。
設定を少しアレンジする
撮影時の設定は次のようにしました。
焦点距離 | 31mm(単焦点レンズ) |
---|---|
絞り | F11 |
シャッタースピード | オート |
ISO | 1600 |
撮影モード | 絞り優先(Av)モード |
フォーカスモード | マニュアル(3m付近) |
撮影モードを絞り優先(Av)モードにした理由は、あえてオーバー、アンダーで撮る必要もないと考えたためです。
写ルンです(フィルム)と同じアプローチとするなら、RAW現像時に適正露出に合わせることになります。しかし、後処理が面倒であること、また極端なオーバー、アンダーで撮ってしまうと、モニターでの確認がしにくいためこのような設定としました。
また、ISOを1600としたのは、F11の場合は、ちょっと暗い場所になっただけでシャッタースピードが稼げなくなる為です。
撮ってみた(作例)
ロケーションは空堀商店街付近です。
散策する度に新しい発見がある路地裏は被写体の宝庫です。このお店?は、いつ来ても閉まってはいないものの、誰かが居たこともありません。
謎過ぎます。 もはや、商品なのかゴミ(失礼)なのかよく分かりません(笑)。 こちらが、今回新しく発見した被写体。 使っている人いるんでしょうか。ビジュアルも香りもタイムスリップしたかのような感覚に陥ります。 ポートレートでも良い雰囲気になりそうな感じです。 こちらは空堀商店街のアーケード。日曜は定休日のお店が多く、人通りも少なめでした。 越してきて3年になりますが、この1年でいろんなお店などが入れ替わってきているように感じます。この宿もその一つ。いつも行列が絶えない「そのだ」さん。
終わりに
レンズが違うために、本家「写ルンです」の雰囲気はそれほど再現できてはいないかもしれません。フィルムの雰囲気はレタッチによる部分が大きいかと思います。
撮影時は、露出とピント合わせを意識する必要がないため、非常にテンポよく撮影できます。
しかしながら、32mmという凡庸な画角でパンフォーカスであり、ボカすことが出来ない、寄れない(1mより近いとピントが合わない)という設定により、表現の幅はほぼ構図一点となります。
構図をしっかりと意識しないと、ただ撮っただけのなんの変哲もない写真になってしまいがちで、立ち位置、アングルなど、いつも以上に構図を工夫しなければなりません。
よって、この撮影スタイルは、構図の幅を拡げる練習としても非常にいいアプローチではないかと思います。
もしよかったら是非試してみてください。
コメント