どんなレンズがいいのか
前回は「明るい」単焦点レンズを使うメリットについて説明しました。

では、「明るい」単焦点レンズとしてはどのようなレンズが良いのでしょうか。
結論から言うと、おおよそ次のスペックに一致するようなレンズとなります。
APS-C(一般的なエントリーデジタル一眼レフカメラ)の場合
(Canon EOS Kissシリーズ、Nikon D3000、D5000シリーズなど)

35mm F1.8 / 50mm F1.8
マイクロフォーサーズ(ミラーレス一眼)の場合
(オリンパス PENシリーズ、パナソニック LUMIXシリーズなど)

25mm F1.7 / 25mm F1.8
これらのスペックとは次のような意味を示しており、この値によってそれがどのようなレンズであるかということを判断することができます。
35mm F1.8 の場合は、”35mm”は「焦点距離」、”F1.8″は「F値」を示しています。
レンズを選ぶという時は、まずこの「焦点距離」と「F値」を基準に考えることになります。
どのメーカーでも上記のスペックのレンズはたいてい用意されていますので、よく分からなくてもこれらのスペックに近いレンズを選べば、間違いはないと思います。
迷いどころとしては、APS-Cの場合に50mmを選ぶかどうか、この1点かと思います(特にCanonの場合)。無難なのは35mmですが、各メーカーともに50mmのレンズが非常にコスパが良く魅力的なこと。そして、APS-C+50mmの組み合わせはポートレートなどが多い方にはおすすめですが、テーブルフォトなどでは使いにくいと感じるケースがあるということ。よく分からなくて迷った場合は35mmをおすすめします。
以降では、「明るい」とはどんな意味で、「単焦点」とはどういったレンズなのか、それぞれの数値の意味や選び方について説明しますので、以下を参考にしてください。
F値で選ぶ
明るいレンズとは
さんざん出てきた「明るい」という言葉ですが、これはレンズの最小F値が小さいことを意味します。
F値や焦点距離はレンズの正面や側面などの記載を見ることで確認できます。
この場合はF値は3.5~5.6、焦点距離は18mm~55mmで、最小F値については18mmの場合にF3.5、55mmの場合にF5.6となるということになります。
また、F値とは「絞り値」ともいい、レンズの絞りがどれだけ開いているかを表す数値です。
最小F値が小さいということは、絞りをより大きく開くことができ、たくさんの光を取り込むことができるレンズとなります。キットレンズの場合はF3.5~F5.6といった場合が多いですが、単焦点レンズの場合は、F1.4~F2.8といったレンズが用意されています。
よって「明るい」単焦点レンズ選びのポイントは、できるだけF値が小さく、値段と大きさを許容できるラインを決定することになります。最初のレンズとしては、F値はF1.4~F2.8(できればF2.0以下)がおすすめです。
F1.4とF1.8のどちらかで迷うケースがあるかとは思いますが、個人的にはそれほどの差はないと思います。レンズの差を表現するとしたらこのようなイメージとなります。
もちろん、値段と大きさ(重さ)が気にならなければ、F1.4を選ぶというのも正解です。
焦点距離で選ぶ
単焦点・焦点距離とは
単焦点とはわかりやすく言うとズームレンズではないということです。
キットレンズなどに付いてるズームする機能・仕組みがなく、常に同じ範囲のみが写るレンズとなります。
ズーム(拡大・縮小)ができないことが不便なことに感じられるかもしれませんが、このことによる様々なメリットがあります。
ざっくりいうと、軽い、安い、よく写る、そして写真が上達する。
そして、単焦点レンズを選ぶ際はこの写る範囲を示す「焦点距離」というものを決める必要があります。
焦点距離とは、レンズに記載されている35mm、50mm、18-55mmなどの数値のことであり、小さいほど広い範囲が写り、大きいほど狭い範囲が写ります。
ズームレンズの場合は、ズームリングを回すことによりこの数値を変化させて写る範囲を大きくしたり小さくしたりできます。しかし、単焦点レンズの場合は、焦点距離が固定となるため、写る範囲を変えることはできません。
よって、この焦点距離を決定することが、単焦点レンズ選びにおいて一番重要なポイントとなります。
第一候補は標準レンズ
レンズはその焦点距離によってそれぞれ「広角レンズ」「標準レンズ」「望遠レンズ」に分けられます。
カメラ | 広角 | 標準 | 望遠 |
---|---|---|---|
フルサイズ | ~35mm | 35-85mm | 85mm~ |
APS-C | ~20mm | 20~60mm | 60mm~ |
マイクロフォーサーズ | ~15mm | 15-40mm | 40mm~ |
最初の単焦点レンズとしては、「標準レンズ」に相当する焦点距離をおすすめします。
- フルサイズの場合は50mm前後
- APS-Cの場合は35mm前後
- マイクロフォーサーズの場合は20mm前後
自分に合った焦点距離を確認する
標準レンズの焦点距離が妥当かどうかを知るためには、キットレンズで試し撮りをすることで確認することができます。
やり方は簡単です。
レンズに記載されている焦点距離を確認しながらズームレンズを回し、設定したい数字(焦点距離)に合わせます。
(例)
あとは、そのまま普段自分がよく撮る被写体を撮ってみてください。
撮りにくいと感じた方は、ズームリングを回して、自分の好きな焦点距離がどの辺りか確認してください。
APS-Cで50mmを選ぶべきか
お持ちのカメラがフルサイズ機の場合は、問題ありません。50mmを選んでください。
エントリー機、中級機のAPS-Cサイズのカメラの場合にどうするかというお話です。
Nikonの場合
Nikonの場合は35mmにお手頃で素晴らしいレンズがあり、50mmレンズの方が値段が高くなるので、50mmに特別な必要性がなければ35mmが一番おすすめです。
というか、個人的にはNikonについてはこれ一択ではないかと考えます。
AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G
Canonの場合
問題はCanonの場合です。
いわゆる「撒き餌レンズ」といわれる50mmのレンズが極端に安いのです。35mm付近のレンズでは「EF35mm F2 IS USM」は57,000円程度、定番の一つであるシグマの「SIGMA Art 30mm F1.4 DC HSM」も非常に素晴らしいレンズなのですが、35,000円程度となってきます。
それに対して「EF50mm F1.8 STM」はというと、14,000円程度。やはり候補として考えたくなるところです。ただし、APS-Cフォーマットのカメラで使用する際は、写る範囲がやや狭くなってしまうため、風景やテーブルフォトなど、広い範囲を写すのは苦手なので注意したいところ。
よって、キットレンズ等で50mmでの撮影に問題がないか確認した上で、選んだ方が良いと思います。
また、スナップや人物、ペットなどの写真が好きな方は50mmのレンズを選んでも問題なくハッピーになれるのではないかと思います。私自身がそうでした。
なお、予算とレンズの大きさ(重さ)に問題がないのであれば、シグマの方をおすすめします。
EF50mm F1.8 STM
SIGMA Art 30mm F1.4 DC HSM
PENTAXの場合
PENTAXの場合はどうでしょう。
第一候補は「smc PENTAX-DA 35mmF2.4AL」となるかと思います。
次は「smc PENTAX-DA 50mmF1.8」ですが、この2つについては価格差がほとんどなく、好みで選んでいいと思います。
ちなみに、「smc PENTAX-DA 35mmF2.4AL」のF値が少々大きいことから、ボケ具合に関しては「smc PENTAX-DA 50mmF1.8」に軍配が上がります。
広く写す必要がある場合は「smc PENTAX-DA 35mmF2.4AL」、予算に余裕があれば「SIGMA 30mm F1.4 DC HSM」を選ぶと、両方の良いところ(標準域で明るい)をカバーできます。
smc PENTAX-DA 35mmF2.4AL
smc PENTAX-DA 50mmF1.8
SIGMA 30mm F1.4 DC HSM
ぼかした写真を撮ってみたい、50mmが好みということであれば「smc PENTAX-DA 50mmF1.8」が良いかと思います。
50mmの場合は、私も愛用している「smc PENTAX-FA 50mmF1.4」もお勧めなのですが、少々値段が上がってしまいます(数年前は2万円台で購入できたのですが、K-1の登場で少し値上がりしてしまったようです)。メリットはF1.4という明るさとフルサイズ対応ですが、コストパフォーマンスは「「smc PENTAX-DA 50mmF1.8」が上であると思います。よって、まず最初の1本ということであれば、こちらをお勧めします。
まとめ
「明るい」単焦点レンズを選ぶ際には、標準域の焦点距離、F値が小さいレンズを選択しましょう。ボディと違いレンズは一生モノと言われ、大切に使うことで長く使用することができます。
予算を抑えたい場合は、中古レンズを選択するのも有効です。ただし、レンズに限らずですが、中古品という性質上、お店、商品選びには注意したいところです。
次回は「明るい」単焦点レンズを使うと写真が上達するということについて説明します。

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