おっさんずラブのイルミネーション演出
今更ではありますが、おっさんずラブにハマってしまいました。
もともと知っていたのは流行語対象にノミネートされたということぐらい。
特に興味もなかったのですが、Amazonプライムで何気なく再生したのが最後。
夫婦そろってイッキ見してしまいました(笑)。
そんな「おっさんずラブ」、脚本や俳優さんの演技も非常に素晴らしかったのですが、個人的に気になった演出がありました。
第1話 部長の告白シーン
背景のイルミネーションの光がハートやダイヤの形に輝く。

はるたん
第4話 部長失恋のシーン
イルミネーションが割れたハートや、涙の雫のような形に変わる。

はるたん(泣)
これらの演出はカメラをやっている方ならピンとくるかと思います。
そうです、みんな大好きなボケ(”Bokeh”)なんですよね。
というわけで、今回はこのイルミネーションの演出と同じ効果を得るための方法を紹介したいと思います。
おっさんずラブを再現しよう
上述のイルミネーションを再現するために必要なことは大きく2つ。イルミネーションの再現方法
- 背景をぼかす
- ボケの形を変える
背景をボカす
ハートや星などの形を出すために、まずは背景がボケることが必要となります。
ボケの形を変える
基本的にボケの形は絞りの形になります。
例えば、円形絞りと言われるレンズの場合は、円に近い玉ボケになりますが、絞りの形が六角形だったりすると、ボケもその形になります。
こんなふうに星型のボケが得られるレンズもあります。
よって、おっさんずラブのようなイルミネーションの演出を得るには、絞りの形を変えてしまえばよいということになりますね。
といっても、レンズの絞り羽を加工したりなどはもちろんできません。
そこで、絞りの形を変える代わりに特殊なフィルターを使用します。これを後述の商品と同様にボケフィルターと呼ばせてもらいます。
カメラ・レンズを用意する
センサーサイズが大きい程ボケやすくなるので、フルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズのカメラを用意します。コンデジなどでは難しいでしょう。
レンズは下記の通り、焦点距離が50mm以上で明るいレンズが必要となります。
【相性の良いレンズ】
ボケがうまく出るレンズの条件としては以下のものがあります。
フィルターのサイズが52mm~62mm
絞り値がF/2.8以下の明るいレンズ
焦点距離が50mm以上のレンズレンズの焦点距離をF値で割り、答えが26に近ければ、そのレンズは相性が良いと思われます。たとえば、以下のようなレンズだと使える可能性が高いでしょう。
50mm F/1.8
50mm F/1.4
85mm F/1.8
100mm F/2.8
28-105mm F/3.5-F/4.5
70-300mm F/4.5-F/5.6出典:
ギズモショップ | GIZMON Bokeh Freedom Filter
18-55mmF3.5-5.6といった一般的なキットレンズでは、その効果を得ることが出来ません。また、広角レンズ(焦点距離35mm以下)も向いていません。
明るさは充分にあるAF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8Gで試しましたが、無理でした。
多くのメーカーでラインナップされている50mmF1.4、50mmF1.8といったレンズが使いやすいと思います。
ボケフィルターを自作しよう
こういった商品が販売されています。
そんなに難しいものでもないので自作してしまいましょう。自作は面倒くさいと思うかもしれませんが、メリットもあります。
自作するメリット
- 所有するカメラ・レンズにぴったり合わせられる
- ボケの形を好きなようにできる
用意するもの
フィルターの自作に必要なものはそれ程ありません。自宅にあるもので事足りるでしょう。見栄えにこだわる場合は、黒色の画用紙などを100均などで購入すると良いかと思います。
ただ、黒色の紙は通常の筆記用具では寸法を書くことが難しいため、何かしら工夫が必要となります。
また、フィルターの脱着を行うことを考えると、保護フィルターがあった方が、レンズを傷付ける心配がなくていいかと思います。
作り方
フィルターの穴のサイズを確認する
一番のポイントは切り抜くサイズです。大き過ぎても小さ過ぎてもいけません。適正なサイズはレンズの焦点距離、明るさ、サイズ等によって決まります。
まずは、このサイズを確認しましょう。
直径が10mm~20mmの間で穴をあけた紙を用意して、点光源になるような被写体を撮影してみましょう。
ピント合わせはマニュアルフォーカスを使用して、一番近くに合わせます。
ファインダー(もしくはモニター)で見て四隅がケラレている場合は小さいということになります。逆に大き過ぎると穴の形がキレイに出ません。
smc FA50mm F1.4の場合は12mm程の大きさで綺麗なボケが確認できました。
フィルターを作成する
サイズが確認できたら、レンズの径(フィルター)に合わせてボケフィルターを作成します。
はっきり言って作りは雑ですが特に問題はありません。保護フィルターにねじ込むと外しにくくなってしまうので、つまんで外すためのパーツを用意しています。
保護フィルターにはめ込んで、このように装着します。
撮影してみよう
ボケの出し方を確認する
まずはボケを出す必要があります。カメラの設定を次のように変更しましょう。
- 撮影モードを絞り優先モードに設定し、F値を一番小さくする
- オートフォーカスからマニュアルフォーカスに変更する
- ISOを高めにする(1600や3200など)
そして、光源がある方向へカメラを向け、フォーカス位置を前後に変えてみます。以下の写真はsmc PENTAX FA50mm F1.4を使用し、全て最小絞り(F1.4)で撮影しています。
無限遠
無限遠だとほとんどボケは出ません。
1.5m
フォーカスを手前にすると少しずつボケ始めます。
0.8m
ピント位置を近くすると、ボケがさらに大きくなります。
最短(0.45m)
ピント位置が手前になるほど、ボケが大きくなるのがわかるでしょうか。ボケの形はレンズの絞り形状によっても変わりますが、円形、五角形、六角形等にになっているかと思います。
ここで大事なのは、ボケの大きさはピント位置によって大きく変わるということです。
メインの被写体をフレームに入れる際、被写体に寄るほどボケが大きくなることを覚えておきましょう。
ボケフィルターを使ってボケの形を変える
次は自作したボケフィルターの登場です。
ボケフィルターをレンズに装着して、先程と同じようにボケを出してみましょう。円形だったボケが、ボケフィルターの形に変わります。
先程と同じようにピント位置が手前になるほど、ボケが大きくなってハートの大きさが変わります。
そして、おっさんずラブです。
…が、残念ながらモデルさんがいない為、通行人をピンボケで撮らせてもらいました。
なお、ピントを合わせるのが難しければ、オートフォーカスを使用しても問題ありませんが、ボケフィルターで光量が少なくなっている為、普段よりも合わせにくくなります。
また、夜景の撮影では、背景を暗くしたまま被写体を明るく撮るには何かしらのライティングが必要となります。
他の作例
星型のフィルターでもいろいろと撮ってみました。
終わりに
ちょっとした手間で普段とは違う写真を撮ることが出来ます。
様々な形に変わるボケを利用しておっさんずラブのような演出をを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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